ヘマトクリットを赤血球数で割ったものをMCV(1個あたりの赤血球の容積を示す)、ヘモグロビンを赤血球数で割り算したものをMCH(1個あたりの赤血球が含むヘモグロビン量を示す)といいます。MCVが小さく、MCHが低い場合は、鉄欠乏性貧血(胃腸からの慢性的出血、痔出血、子宮筋腫などに伴う月経過多、胃切除に伴う鉄吸収障害、食事量減少に伴う鉄摂取低下などが原因として考えられる)を考えます。鉄がヘモグロビンという色素の原料になるからです。逆にMCVもMCHも大きくなることがあります。このときはビタミンB12または葉酸欠乏による貧血、肝障害がある場合などが原因として考えられます。MCVもMCHも正常値の場合は、腎性貧血(腎不全に伴う貧血)、急性出血(胃潰瘍からの出血など。慢性的に続けば鉄欠乏性貧血になる)、薬剤による貧血などが考えられます。この分類をもとにして原因を探っていくのできわめて重要な項目なのです。
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